大航海時代とルネサンス 大航海時代 ルネサンス 歴史 参考文献 index

ヴィーナスとアモル

ヴィーナスの子アモルがヴィーナスの体の陰から矢を射ようとし、ヴィーナスはそれを止めている。アモルはローマ神話の愛の神、ギリシア神話のエロス、クピドとも呼ばれる。
画面上方のラテン語は、クピドの快楽を追い払いなさい、どんなに骨が折れても。そうすればヴィーナスがあなたの向こう見ずな心を占領することはないでしょう、という意味。愛の営みを抑制して、秩序があり神に祝福される結婚生活をしなさい、という戒めと解釈されている。当時の人々の倫理観に合っていたらしく、この主題の作品は、選帝侯の宮廷、貴族や市民の中の有力者の依頼で多数制作された。
1513年にヨハン堅忍公が再婚した際、クラーナハはトルガウ城に呼ばれ、花嫁のベッドに「ヴィーナスとアモル」を描いたと伝えられる。
1850年にカンヴァスに移された際、周囲に継ぎ足された。

世界美術大全集14 北方ルネサンス
1500年代

クラーナハ
ヴィーナスとアモル
1509年 板(カンヴァスに移行) テンペラ
170×84cm(213×102cm)
ロシア サンクト・ペテルブルグ エルミタージュ美術館